質問に対する返答
5月14日クラス
質問と返答
これは、生物学の永遠のロマンかもしれません。本日の授業で紹介したように、原核細胞から現在の真核細胞も生まれたことはほぼ確実です。しかし、「生物が発生した時」から、すべての生物は進化や滅亡を続けており、なかなかその道筋を後戻りすることができないため、勿論科学的にですが、推測のストーリーしか描けないのが現状です。
リン脂質がミセルあるいは二重層になる条件は?
実際には水との量比や混合方によって異なるのでは無いかと思います。ドレッシングの油滴と同様?ただし、ミセルでは細胞になりませんので、生物の膜の場合は二重層しかあり得ないということになります。
リン脂質二重層が二重膜であっては困るのか?
困りません。今日の授業でお伝えしたかったのは、細胞膜(生体膜)の基本構造がリン脂質二重層であることです。次回紹介するミトコンドリアなどは、二重膜構造を持っています。
リン脂質二重層であることと半透性の性質とは関係有るのか?
水は、リン脂質二重層の内部が疎水性であるにも拘わらず、電荷を持たないため、速やかに拡散します。この他にも、非極性物質や、電化を持たず小さな極性分子(エタノールなど)は通過、拡散します。しかしながら、電荷を持つイオンの様な分子は、疎水性の層に入りにくい為、通過が困難です。従って、リン脂質二重層は、半透性の様な性質を示します。
細胞膜はタンパク質を通すのか?
基本的に細胞膜はタンパク質を通さない性質を持ちます。細胞内で生産されたタンパク質(例えば消化酵素)を細胞外に分泌したり、ペプチドを細胞内に取り込む場合は、通常小胞などを用いて、細胞膜の通過を経ない輸送を行います。
細胞はなぜカリウムを取り込みナトリウムを排出するのか?
一般的にナトリウムポンプと呼ばれる、ナトリウム・カリウムATPアーゼについての質問です。生物、あるいは細胞が何故、ある物質を必要としてある物質を必要としないかは、なかなか説明できないことです。今回は、赤血球を例に紹介しましたが、赤血球の内部は、その細胞膜の外界である血液に比べ、ナトリウム濃度が低く、カリウム濃度が高くなっています。従って、赤血球の内部環境としては、血液よりも低いナトリウム濃度、高いカリウム濃度が好適であるのであろうと考えられます。その理由は私は現在情報を持っておりません。赤血球は、その好適環境を維持するために、エネルギーを用いた能動輸送により、細胞外にナトリウムを排出し、カリウムを取り込んでいるのです。
ナトリウムポンプはナトリウムを排出するときにはエネルギーを必要とするがカリウムを取り込むときはどうか?
ナトリウムがナトリウム・カリウムATPアーゼに結合すると、ATPから1分子のリン酸を奪い(リン酸化)、その結果ポンプの立体構造が変化して、ナトリウムを膜を横断して細胞外に排出します。逆に、リン酸化されたナトリウム・カリウムATPアーゼにカリウムが結合すると、リン酸を放出(脱リン酸化)して、ポンプの立体構造がもとに戻り、その際、カリウムを細胞内に取り込むことになります。従って、カリウムを取り込むときにはエネルギーは必要ではありません。
受動輸送で、チャネルはどのようにして開閉するのか?
チャネルタンパク質は、細胞膜の内外を繋ぐ、イオン特異的なサイズの孔を持っていると考えられています。このチャネルの細胞外部側には、ゲートが存在し、膜の電位の変化、機械的な膜の変化、シグナル伝達分子の結合によってゲートが開けられたり、あるいは閉じられたりすると言われています。
5月21日クラス
質問と返答
繊維状に集合している場合もあり、その場合は細胞の形や小器官の位置を決定する程度の強度は有るのではないでしょうか。ただし、逆に細胞骨格が、分解されたり再構成されたりすることで細胞運動や細胞分裂時の小器官の移動が可能になります。
ミトコンドリアや葉緑体以外の細胞小器官は独自に進化してきたのか?
現存する生物は、みな進化をしてきていると考えられており、所謂「祖先」の生物が存在しないことから、細胞小器官の進化などは、皆「説」にすぎません。その前提で、細胞内共生でできたと考えられる器官以外は、細胞の進化の過程で生まれたと考えられます。核膜なども、細胞の設計図に当たる重要な「遺伝子」を保護するために進化したと考えられます。細胞膜と連絡していること(今回の授業で紹介しました)はその一つの根拠とも考えられます。
ミトコンドリアの遺伝情報が変化することはあるのか?
あります。すべてのDNAでは、塩基の置換、欠損等の変異が起こりえます。ミトコンドリアDNAは比較的その変異率が高いと考えられています。これは、呼吸阻害剤に対する耐性菌の出現頻度が高いことからも推測できます。
ミトコンドリアは母性遺伝とのことだが、精子はミトコンドリアを持たないのか?
持っています。ただし、精子がエネルギーを要するのは、べん毛運動が主ですので、受精時に切り離されるべん毛とともに父方由来のミトコンドリアは捨てられてしまいます。悲しいかな、、、
細胞膜、小胞体、ゴルジ体、核膜が1つの構造体であることに驚いた
細胞において、これらの器官が膜を通じて繋がっていることも多く、膜が共通であるという基本的なことを理解していただきたく、少し強調して紹介しすぎたようです。もちろん、繋がってはいても、構造や機能から別の器官と考えていただいて結構です。
沈降係数(S)とは?
授業でも紹介したように、分離用超遠心器で分離する際に沈降する速度を元に、沈降係数(S)として表すもので、分子の大きさ、分子量、分子の構造、水和性等によってきまります。高分子の大きさを表現する際に使用しますが、このように、単に分子量を示すものではなく、構造(形)にも関係する係数ですので、真核生物のリボソームの40Sと60Sのサブユニットが結合しても100Sにはならず、80Sになります。
ゲノム解析はどういう意義があるのか?
図書館にある「遺伝」(裳華房)53巻8号(1999年8月号)、54巻10号(2000年10月号)などを参考にして下さい。
ゲノムあたりの塩基対数が多い方が高等生物か?
前回から紹介しているように、すべての生物の起源は一つと考えると、その生物が発生してから現存する生物になるまでの時間は、すべて共通であると考えられます。また、それらすべての生物は進化を続けていると考えられます。従って、高等という考え方は私は紹介していません。あえて、高等という考え方を入れるとしても、植物の様に、倍体の多い生物があれば、「ゲノムあたりの塩基対数が多い方が高等とは言えない」ことがわかります。
呼吸系が複雑で分かりにくい
呼吸は、細胞質での解糖、ミトコンドリア内での、TCAサイクル、電子伝達系、酸化的リン酸化は、好気呼吸において得るエネルギーをATPに蓄える過程の重要な連続した反応よりなっています。詳しくはすでに片山先生の授業で紹介されたかと思いますが、「細胞の分子生物学 第3版、ニュートンプレス」p.
66-74にわかりやすく纏められていますし、その他の生化学、生物学の本でも紹介されていますので、読んで不明の点は有江までお越し下さい。
5月28日クラス
質問と返答
講義の中で正確に紹介したと思いますが、、、ヌクレオチドは核酸(DNA、RNA)を構成する単位で、そのヌクレオチドは、「五単糖+塩基+リン酸」で構成されます。このうち、「五単糖+塩基」の部分がヌクレオシドと呼ばれます。
遺伝子はDNAの一部のことか?
遺伝子の概念については講義の中で紹介しましたのでもう一度思い出してください。生物が持っている染色体は、物質的にはDNAですが、そのDNAはヌクレオチドの多量体です。そして、そのDNAを構成するヌクレオチドの塩基の配列により、タンパク質を規定し、生命活動や次世代を制御しています。1つの遺伝子とは、基本的に1つのタンパク質を作る染色体上の領域と理解できると思います。つまり、(真核生物では)1つのタンパク質を指定する塩基の並びを持ったヌクレオチド鎖の部分とイントロン(これを構造遺伝子と呼ぶ)、転写開始点から翻訳開始点、翻訳終了点から転写終了点、調節領域(エンハンサー等とプロモーター領域)を併せて遺伝子と呼びます。
5’、3’とはなんですか?(あるいは、5’、3’は重要か?)
同じような質問をたくさんいただきました。簡単には、核酸の方向性を示します。この方向は、授業で紹介しように、ヌクレオチドを構成する糖の炭素原子の番号によって決定されます(プリントの2ページ目、右上をご参照ください)。今回の講義でご紹介したDNAからhnRNAへの転写の際には、DNA二本鎖のうち一本(アンチセンス鎖)にRNAポリメラーゼIIがセットされ、塩基との相補性に基づいて、5’→3’方向にRNA鎖を合成します。このhnRNAを元に、プロセシングされて作られるmRNAの持つ塩基配列情報に基づき、アミノ酸が並べられ、結合されて、タンパク質に翻訳されますが、この際は、mRNAの5’側からアミノ酸が並べられていきます。つまり、5’→3’の方向は、塩基配列として保存されているコドンを読みとる上で重要です。また、次週紹介する、DNAの複製の際も、DNA鎖は、5’→3’方向に合成されます。このように、核酸の方向は非常に重要です。
mRNA、tRNA、リボゾームとタンパク質の合成がわかりにくかった
この部分は、非常に重要な部分です。講義の時間の関係でかなり急ぎ足になり、わかりにくかったかと思いますが、6月4日の講義でもう一度概説いたしますので、ご了承ください。
DNAの働きはタンパク質を作ることではなくてアミノ酸をつなげる順番を決めることですか?(質問では「タンパク質」の部分が「アミノ酸」となっていましたが私が編集しました)
基本的には、DNAが持っている情報はアミノ酸をつなげる順番です。しかしながら、その情報が翻訳されてできたタンパク質の中には、生物のからだを構成するタンパク質だけでなく、酵素等が含まれ、これらが働くことでDNAからRNAへの転写、mRNAからタンパク質への翻訳を含めたすべての生命活動が制御されています。その際に、タンパク質をつくるタイミングもDNAとDNAあるいはタンパク質の相互作用によって制御されています。従って、DNAは、アミノ酸をつなげる順番をきめることを介して、タンパク質を作ること、その他の生命活動のすべてを制御しています。
タンパク質を合成した後、mRNAはどうなるか?
多くの場合、一つのmRNAの上に複数の分子のリボゾームがついて、複数分子のタンパク質を連続的に合成します。従って、1分子のmRNAから1分子のタンパク質のみが翻訳・合成される訳ではありません。しかし、タンパク質の合成は、様々な因子によって調節されていますので、不要になったmRNAは、RNA分解酵素により分解されます。
6月 4日クラス
質問と返答
先週もいただいていた質問ですが、回答を失念していました。失礼しました。確かに、理論的には不可能ではありませんが、講議の中で紹介したように、染色体を構成するDNAのすべての領域が遺伝子というわけではありません。言い換えれば、染色体上の領域には、タンパク質等をコードしていない部分がたくさんあります。実際にhnRNAに転写される反対側の鎖は、タンパク質をコードしていないなど、無意味と考えられる塩基の配列を持つ場合が殆どです。真核生物の染色体の大部分は、遺伝子でないことにも関係有ります。さらに、機能的にも、DNAからRNAへの転写は、一律に行われているわけではなく、調節領域の働きなどによって、生命活動の必要に応じて調節されています。すなわち、転写の効率が最優先ではなく、生命活動に利用できるように上手に調節できる形が現在の遺伝子の存在形態なのであろうと考えられます。
tRNAはどこからくるのか?
御質問の主旨を、「tRNAはどのようにして作られるのか?」だと理解してお答えします。tRNAの情報も染色体DNA上に存在します。このDNAの塩基配列に基づいて、RNAポリメラーゼIIIが核内で合成し、細胞質に運びます。
生物の体を構成する染色体がすべて同一であるのに、何故器官が生じるのか?
染色体上に遺伝子が存在するだけで、生命活動が起こるわけでは有りません。生命活動は、染色体という生命の設計図に基づき、タンパク質等が合成されて起こりますが、その過程で、様々な調節が起こります。DNAからRNAへの転写、RNAのプロセシング、mRNAの輸送、翻訳、タンパク質の修飾や輸送や分解、mRNAの分解等の様々な場面がそれぞれ細胞ごとに調節されることで、生産されるタンパク質の細胞間の差が生じ、器官等の分化が生じます。
ゲノムあたりの塩基対数とは何か?
ゲノムとは、「染色体およびその上の遺伝情報の全体」をさしていることについては、5/21に紹介しました。「1つの核が保有する染色体を構成するヌクレオチドの数(=塩基の数)を、2で割った数」が「ゲノムあたりの塩基対数」です。DNAは二本鎖として存在しており、ヌクレオチドの相補的な塩基が対をなして(対合して)水素結合することによって二本鎖になっていますので、塩基の対の数でDNAの長さを示すことができるので、このような数字を使用します。また、塩基対=bp(base pairs)、1000 bp= 1 kb(キロベース)、1000 kb= 1 Mb(メガベース)と表します。
DNAの複製は、二重らせんが縦に2つに割れて開始されるのか?
講議の中で、動画も使用して、この部分は詳しく紹介したつもりでしたので、この質問にはショックを感じました。もう一度プリントを見直していただきたい(6/4プリントのp. 1)のですが、複製開始点(1つの染色体上に複数あることを紹介しました)でDNA二本鎖がほどけ、ここから両方向に向けて複製が行われます。
RNAプライマーが良く分からない
本講議は、「生物学基礎」ということで、DNA複製時のRNAプライマーについては、6/4、p. 1に言葉のみ触れるに留めさせていただきました。詳しくは、「遺伝子の部屋」を御覧いただくか、参考書をお見せしますので、有江までお越しください。
なぜラギング鎖ではDNAの複製が連続して進行しないのか(短いフラグメントが合成され、後でつなぎ合わせられるのか)?
上述の様に、DNAの二重らせんに生じるほどけが、両側に向かって進んでいきながら、両方の鎖が複製されます。ここで、DNA鎖は、5'→3'方向にしか合成されない、ことを思い出して下さい。どうしても片側の鎖(ラギング鎖)では、5'側に新しいヌクレオチドを付加しないと伸長していきません。そこで、短い鎖をいくつもつくり、それを後から繋ぐことでDNA鎖を完成させています。分かりにくい様でしたら、ぜひ「遺伝子の部屋」を訪れてみて下さい。
テロメアについてもっと知りたい
「遺伝子の部屋」→「応用編」→「不老不死に挑戦」で非常に分かりやすく説明されていますので、是非御参照ください。無性生殖をくり返している細胞(かびの仲間など)では、テロメアはどのように修復されるのですか?という質問もいただきました。このような生殖をする生物では、無性生殖の過程のどこかでテロメラーゼが機能してテロメアを修復しているはずですが、残念ながら私は詳しい知識を持っていません。
なぜ(多くの動物や植物は)核相=2nなのか?
私にはとてもこの質問にはお答えできない程、生物の機微であると思います。次回の講議で、遺伝のメカニズムを御紹介する中で、2nであることの有利な点をお話しますので、必要でしたらその後再度御質問ください。また、「生物によって染色体数が異なる理由は何か?」という御質問もいただいています。これも、染色体数が同じである必要は特になく、進化の過程でバリエーションが生じたのであろう、と考えられますが、そこには、染色体の切断、接着、乗換え、さらには、生物間での染色体の水平移動などの様々な現象が関与したと考えられます。
相同染色体とは何か?
次回の講議で改めて紹介いたします。
クローン動物の作り方を知りたい
申し訳ありませんが、この講議の範囲外と考えていること、また、ドリー誕生の経緯等は様々な資料があるので、皆さんが勉強することは容易と考えられることから、ここでは回答いたしません。
無性生殖は、環境条件の変化への対応がしにくい等の不利があるのに、なぜ無性生殖を主にする生物がいるのか?
いただいた質問では、タケを例にあげられていました。タケの場合は、匍匐茎(植物学的にこの言葉が正しいかどうかは自信がありません)で無性生殖しています(タケノコです)。これでタケは、広い範囲に、多くの新個体を生みます。タケが開花するのは長い年月に一度とされており、この際、有性生殖をして種子を作っているのかどうか私は知識を持っていませんが、もし有性生殖しているとすれば、この時始めて遺伝的に多様な後代を作る機会を得たことになります。私の感覚ですが、環境変化というのはこのような長いスパンで捉えられることであり、その手段を保持した上で、無性生殖により個体を増やせるというのが種の生存にとって有利だったからこそ、今もタケという種が繁栄しているのだと思います。
有性生殖で親が同じ遺伝子構成を持つ場合はあるのか?
多くの場合は、このようなことはありません。ただし、植物では(例えばイネ)では、自家受粉をしますので、このような状態(コシヒカリを播いて得られる次世代はコシヒカリ)になっています。この様名ケースがありますので、講議の中では、「有性生殖の結果、両親と異なる形質の子ができる可能性がある」という表現を使用しました。
6月11日クラス
質問と返答
「無性生殖は有性生殖に比べて環境(変化)に適応しにくい」ことについて、実際無性生殖でしか増えない「種」はどのくらい絶滅しているのか?
生物の進化に関するかなり概念的な考え方であることをはじめにお断りしておきます。実際には、無性生殖しかしない生物はあまり存在しない(私の取り扱っている菌は無性生殖しかしないですが、なぜそうなのか、が研究テーマです)ので、はっきりお答えすることは困難かもしれません。菌の1つの種をモデルに、数学的に、無性生殖および有性生殖の有利・不利を論じた論文はGenetics 144: 557-567 (1996)等にありますが、かなり専門的です。
減数分裂ではなぜ相同染色体が対合するのか?
相同染色体は、講義のなかでもご紹介したように、基本的には同数の対立遺伝子が同じ順序に並んでいる染色体のことです。体細胞分裂は、親細胞と同じ遺伝情報(染色体の組み合わせ)をもった娘細胞をつくる課程ですから、相同染色体も複製されてそれぞれ1つづつ娘細胞に配置されることになります。その際、相同染色体は独立に複製、移動すれば十分です。ところが、減数分裂では、娘細胞(4つ)に、相同染色体のどちらかが1つずつ配置される必要がありますので、独立に挙動していると、ある細胞には相同染色体が2つ配置され、ある細胞には1つも配置されない、といったことが起こりかねません。そのため、減数分裂の開始時に、相同染色体が対合し、二価(四分)染色体を形成します。
減数分裂を繰り返すと元となる細胞はなくなるのか?
? いただいた質問の趣旨が良くつかめません。減数分裂の結果形成される配偶子(核相=n)は、受精をして2nになり、新たな2n個体をつくります。この個体がその後つくる配偶子は、減数分裂の結果nになりますが、また受精により2nにもどります。従って、減数分裂が繰り返されることはありませんし、実際できません。プリントをもう一度良く読み返してください。
核相(nおよび2n)をもう一度説明してほしい
単相とは、1つの細胞(核)内に原則的に1組の染色体を持つ状態で、減数分裂終了時から受精前までの間を示します。腹相は、受精から減数分裂までの、1つの細胞(核)内に原則的に2組の染色体を持つ状態を示します。
FONT SIZE=2 color="#009977">メンデルの実験はみな偶然でうまくいったのか?
そうではないでしょう。メンデルが現象をみることができる「目」を持ち合わせていたことと、多数の観察をおこなったことの結果ではないでしょうか。昨年の「質問と返答」もご覧ください。
「優性」、「劣性」は、遺伝子の塩基配列を見て判断できることか?
授業でも紹介したように、優性とは、対立形質において、もう一方の形質より現れやすいことを示します。その現れ方は形質ごとに異なっており、単に遺伝子の塩基配列では判断できません。ただし、花色のように、遺伝子および花色出現のメカニズムが明らかになっている場合は、遺伝子診断で花色を推定することは可能です。
劣性の性質は遺伝上不利か?
劣性とは、上述のように形質として現れにくいということを意味しています。「分離の法則」に従えば、劣性の遺伝子も優性の遺伝子と同率で配偶子に受け継がれますので、遺伝上不利ではありません。一方、性質が生存に不利な場合(これは、優性形質の場合も劣性形質のどちらでも)には、選択圧がかかりますので、その形質を決める遺伝子は遺伝上不利になり得ます。
隔世遺伝はあるのか?
祖父(aa)と祖母(AA)の息子(父:Aa)が母(Aa)と結婚してできたあなたは、aaの遺伝型を持つ可能性がありますので、aという祖父と同じ性状が隔世遺伝で出現したように見えます。
検定交雑は何に利用するのか?
植物の育種等で、その個体の遺伝型や由来を知り、新たな育種素材に利用するために良く検定交雑を行います。
突然変異は進化にとって重要か?
昨年の「質問と返答」をご覧ください。
ダウン症について知りたい
ダウン症の詳細については本講義でご紹介することではないと考えます。生物学的には、片親の配偶子が形成される過程で21番二価染色体がうまく分離できず、2本存在し、従って、交配後の後代が21番染色体を3本持つことに起因しますが、人権など様々なことに関与する事象ですので、各ホームページをご参照になり、生物学的、倫理学的に理解をしていただくことが必要かと思います。
試験
試験解答についてのコメント
1 動物の細胞の構造を模式図を用いて説明しなさい
5月14日に配布、説明したプリントの2頁をご参照ください。講義の中で、細胞膜、小胞体、ゴルジ体、核膜の関係について、その構造を含めて詳細を解説しました。そのため、この関係を理解しているかを重視しました。
2 細胞小器官4つの機能を説明しなさい。
あくまで解答を期待しているのは、小器官の機能です。そこで、構造についてかかれているものは正しい場合には考慮しませんでしたが、誤っているものについては減点対象としました。ミトコンドリア:好気呼吸の場でエネルギーを生産する、核:DNA保存、複製、転写の場で、遺伝情報の保持、生命活動の制御に関係する、リボソーム:mRNAのもつ情報をもとにタンパク質を合成する、ゴルジ体:タンパク質の修飾、分泌等に関与する、等について正しく記述されているかを評価しました。