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かび・細菌などの微生物やウイルスによる、生物の正常な生命活動の阻害を、「病気」と呼ぶ。植物も、我々と同じように病気に罹る。自然生態系では植物の密度の調節や多様性の維持等の役割を果たしている病気も、農業場面においては、「病害」として、人間の生産活動に不利益を生じる。農工大府中キャンパスには、食用植物、観賞用植物、雑木から雑草まで、多様な植物が栽培され、あるいは生息している。本ゼミでは、キャンパス内の多様な植物に発生している病気を観察、記録、同定、病原の観察を行い、「府中キャンパス植物病気図鑑(web版)」の作成にチャレンジしてもらう。その過程で、フィールド調査の楽しさと難しさを感じることができると共に、植物や微生物を知ること、顕微鏡やコンピューター等の取り扱いに慣れることができる。さらに、植物の病気の制御について、「農業生産」や「食の安全」を併せて考えてもらいたい。
このゼミは平成16、17年度に引き続き、同一テーマで行うものです。
ゼミの開講形式
各自が担当したテーマについて調査した結果(資料を準備)を15分ほどで報告し、それを元に全員で質問・討論を行う(約15分間)。進行は担当者が行う。有江はオブザーバーであるが、必要に応じて討論に参加する。7月6日までに、それまでの報告結果、議論をふまえて、「植物病害とどのようにつきあうのが望ましいか?」のタイトルでレポート(量など自由)を作成、7月6日に全員でそのレポートの要旨を発表(各自約5分)、総合討論を行う。この際、「農業生産」や「食の安全」等についての社会的背景も併せ考える。
また、各回、府中キャンパスにおいて病気の発生調査、写真記録を行い(約30分)、その後採集した試料について研究室で観察、記録、写真記録、病原の同定を試みる。必要に応じて、有江が植物の同定、病原の同定などについてアドバイスする。また、受講者で、平成16〜17年度ゼミで作成したweb版植物病気図鑑を参考に、web版植物病気図鑑の作成方法、デザイン等を検討し、7月13日には図鑑の公開を行う予定である。この間、必要な情報は有江が適宜アドバイスする。
基本的に受講生の自主性を尊重し、受講生が積極的に作業や討論などに参加し、主体となって進めていただく予定である。
平成18年度開講状況
4月27日(木) 顔合わせ、打ち合わせ、各回の担当者決定、「植物の病気とは?(有江が説明しました)」
5月11日(木) 「植物病害にはどのようなものがあるか?」
5月18日(木) 「植物病害が農業生産に及ぼす被害はどの程度か?」
5月25日(木) 「植物病原にはどのようなものがあるか?」
6月 1日(木) 「植物病原はどのようにして伝搬されるのか?」
6月 8日(木) 「植物病害はどのように対処されているのか?」
6月15日(木) 「殺菌剤(農薬)が植物病害を防ぐメカニズムにはどのようなものがあるか?」
6月22日(木) 「殺菌剤の長所と短所はどのようなものか?」
6月29日(木) 「植物病害の生物防除とはどんなものか?長所と短所はどのようなものか?」
7月 6日(木) 「植物病害とどのようにつきあうのが望ましいか?」(総合討論)
7月13日(木) 図鑑をweb上に公開