研究紹介

研究名 実験と数値解析を用いた高性能なパラシュートの検討
メンバー 美濃部 貴幸,岡村 康平
研究内容 パラシュートはその優れた抗力/重量比から,有力な空力的減速法として利用されているが, 複雑な剥離を含む流れ場の影響を受けながら連成振動を行なうため,その挙動には不明な点が多く, 精度の良い設計開発のためにはさらなる研究が必要であると言える. そこで,本研究チームではパラシュート周りの流体・構造・運動の連成現象を実験的手法と数値計算の両面から調べ, 最終的により高性能なパラシュートの設計へとつなげることを目的としている.
参考資料

パラシュートを模擬した凹形状物体周りのPIV可視化



CFDによる自由落下中のパラシュート後方の渦環の可視化

研究名 脳動脈瘤治療についての流体力学的見地からの研究
メンバー 西田 梨奈,馬場 拓真
研究内容 血管疾患の中に動脈の一部が何らかの原因により瘤状に膨らむ動脈瘤という疾患がある. 動脈瘤は脳動脈や大動脈の分岐部にできる確率が高く,いずれの場合にも破裂すると死亡する可能性が非常に高い疾患である. 近年では,その治療にマイクロコイル・ステントを用いた術式や,バイパス流路を作る術式などが行われるようになってきている. そこで血管と動脈瘤を模擬した管内の流れを応用して実験と数値解析を行ない,その流れ場に関して流体力学的な見地からの検討を行ない, より高度な動脈瘤治療のための知見を得ることを目的としている.
参考資料

動脈瘤モデル内流れのPIV可視化



ステントを留置した際の動脈瘤モデル内部の流れ構造



分岐部流れの高解像度なCFD解析

研究名 柔軟壁を有する物体の流体・構造物連成振動
メンバー Esmatullah Maiwand Sharify,齋藤 大樹,原澤 大幹
研究内容 流れの中に鈍頭な形状の物体を配置すると,物体後方にカルマン渦列が形成され, これにより物体周りに圧力変動が生じ,振動が励起され渦励振が生じる. 原子力発電所や各種プラントなどでは,配管内を流れる流体の温度などをモニタリングするために, 流れの中にセンサなどの物体を挿入してある.これが流体励起振動を起こすと, 場合によっては疲労破壊などの問題を生じる.特に,流れの特徴的な振動数が物体の固有振動数に近いと共振が発生し, さまざまな方面で問題を起こす恐れがある.そこで物体壁面に柔軟な材質を用いることで 渦構造を変化させて,流体・構造連成現象を制御するべく,実験と数値計算を用いて研究を行なう.
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柔軟壁を有する円柱の流体・構造連成振動


四角柱周りのPIVによる可視化実験
研究名 ストローク翼を用いた垂直離着陸航空機の設計・開発
メンバー 角田 壮志,山手 瑞貴,田近 喜宏
研究内容 近年小型飛翔体(Micro Air Vehicle)の研究が世界中で盛んに行なわれると共に,その特徴的な流体現象が注目を集めている. 小型飛翔体のように低いRe数の流れ場では,従来の固定翼周りとは大きく異なる流体現象によって流体力を発生させている. それは,本来なら翼性能を大きく低下させる失速現象を,効果的に用いることでなされていると最近の研究で分かってきた. 本研究では,このような飛翔体を様々な環境下で使用できるよう,特に垂直離着陸性脳に着目し,また,低コスト性,高機動性を考慮して研究開発を行なっている. 設計開発には,多分野連成シミュレーションを組み入れた実験を用いることで,短期間での飛行実証実験を目指す.
参考資料

羽ばたき翼周りの流体シミュレーション

研究名 垂直離着陸型再使用ロケットの実用化に向けた研究
メンバー 下田代 優
研究内容 (宇宙研との共同研究)
近年,宇宙輸送機用運用コストの大幅削減を目的として,垂直離着陸型ロケットの開発が検討されている. 一般に大迎角の物体後流には大規模な剥離渦が生じることがよく知られているが, 特に細長物体の場合には,横断流の影響によって後流の剥離渦が非対称となり,大きな横力が生じる場合がある. 本研究における完全再使用型ロケットでは,このような流れ場を利用,もしくは抑制することで転回運動・着陸を実現することを目的としている. そこでそのための空力現象に対する知見を集めつつ,より詳細な検討を行なって実用化につなげるべく研究を行なう.
参考資料

垂直離着陸往還機周りのオイルフロー試験結果




オイルフロー試験とCFD解析結果の比較

研究名 高速車両における集電装置周りの空力・空力騒音に関する研究
メンバー 三日月 敬郎,赤井 大晃,高野 靖士,小澤 峻史
研究内容 (鉄道総研との共同研究)
近年,鉄道の高速化は世界的な動向であるが,そのための大きな障害となっているのが騒音である. 中でも特にパンタグラフは,車両上部にさらされているため速度向上の影響を直接受けることになり, この近傍で低周波から高周波まで広い範囲で高いレベルの騒音が生じることが確認されている. そこで本研究では風洞実験と流体シミュレーションを併用して高速用パンタグラフの流れ場を調べ, 空力騒音の低減化を目標として検討を行なっている.
また,高速車両における課題のひとつに,明かり区間からトンネルに入った際に生じる車両の動揺が挙げられる. この要因の中に,車両近傍から剥離した渦によって生じる振動が考えられているが, これに関して,動揺を起こす要因の特定と,効率的な振動低減メカニズムの研究開発を行なっている.
参考資料

トンネル内部における車両周りの解析と試験模型におけるPSP試験結果




パンヘッド周りの非定常CFD解析