よくある質問
2016年10月14日 当研究室で行っている新材料の研究について 鈴木研究室
現在、当研究室ではテラヘルツ波帯でのメタマテリアル技術を用いて、超高屈折率・無反射物質[1]やゼロ屈折率・無反射物質などの新材料の研究を進めています。
これらのテラヘルツ波帯での幅広い屈折率材料は、メタマテリアルの代名詞[2]でもある透明マント技術(クローキング技術)[3]へ有効に活用できる可能性があります。しかしながら、ゼロ屈折率材料が透明マント技術(クローキング技術)の実現を保証するわけではありません。
さらに、可視光での透明マント技術(クローキング技術)の実現は、上記のテラヘルツ波帯における研究が保証するものでもありません。可視光での透明マント技術(クローキング技術)は世界中の多くの研究者が夢と魅力を抱いている研究課題であるとともに、長期的視野による研究課題であり、まだまだ基礎研究における多くの努力が行われている段階です。
また、透明マント技術(クローキング技術)については既に重要な先行研究が多くあります。最初の報告例として、2006年11月にメタマテリアル分野を開拓した他研究グループが、マイクロ波帯における透明マント技術(クローキング技術)の実験を報告しています[3]。その後も様々な論文が報告されるとともに、散乱する電磁波の抑圧を意図した設計での幅広い屈折率の必要性が他研究グループより報告されています[4]。
[1] 鈴木 健仁, 石原 功基, 大内 隆嗣, "高屈折率・極低反射・低損失なテラヘルツメタマテリアルを実現―産業応用化に向け、テラヘルツデバイスの超小形化・省エネ化へ貢献―," 電子情報通信学会誌, vol.99, no.2, pp.159-160, Feb. 2016.
[3] D. Schurig, J. J. Mock, B. J. Justice, S. A. Cummer, J. B. Pendry, A. F. Starr, and D. R. Smith, "Metamaterial Electromagnetic Cloak at Microwave Frequencies," Science, vol.314, no.5801, pp.977-980, Nov. 2006.
[4] L. Zhang, M. Yan, and M. Qiu,"The Effect of Ttransformation Order on the Invisibility Performance of a Practical Cylindrical Cloak," Journal of Optics A: Pure and Applied Optics, vol.10, no.9, pp.095001-1-5, Aug. 2008.
謝辞
当研究室におけるテラヘルツ波帯メタマテリアルに関する研究内容は、文部科学省科研費新学術領域「電磁メタマテリアル」公募研究(23109505)、総務省SCOPE(122103011)、文部科学省科研費若手研究(A)(26706017)の助成、研究寄付資金事業などのご支援により進められました。今後とも、当研究室の研究・教育活動へのご支援をよろしくお願い致します。